『その日は金曜日』

 

 

 

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「姫100%」作者

赤石路代さんの読み切り漫画です。

 


赤石路代さんの読み切り作品でも特に印象が残っているのでご紹介。

「姫100%」のコミックの中にも掲載されていますが、↑の読み切り集コミック「フェアレディは涙を流す」の中にもあります。

 

 

 

 

「その日は金曜日」

 

 

 

物語は主人公"佐野あずみ"の子供の頃からはじまる。

あずみは車に轢かれそうになったところを、制服姿の男性に助けられる。

男性はあずみを助けて亡くなってしまった。

事故現場に花を添えに行った時、あずみは男性の持ち物だと思われるパスケースを拾う。

パスケースの中には、大人の女性が優しく笑っている写真があった。

 


時はたち、あずみは高校受験をひかえていた。

あずみは受験する高校の見学へ。

そこで、子供の頃助けてくれた男性と

よく似た人物を見つけるのだった。

その男性は金木犀のそばに立ち、あずみのことを見ている。

あずみはその男性に駆け寄り、

「あたし、あなたと会ったことありますか?」

と聞いたが、初対面だ と言われる。

 

 

 

「あなたと会ったことありますか?」なんて聞かれたらドキドキしちゃいますよね〜。(笑)
この漫画は、序盤から最後まで金木犀がよく出てきます。

私が金木犀好きなので

金木犀が出てくるだけでなんかいい気分。笑

物語全体としては切なさがある雰囲気で、

金木犀がそれをうまく引き立ててる感じが好きです。

この切なさがまた良い。

この漫画の中で金木犀はキーワードのような、

キーアイテムのような位置にいます。

ひとつの花をここまでうまくひきだせる

漫画はこの漫画だけじゃないかなー、と思うほど。

絵も他作品と比べてなんとなく細めというか

繊細な感じがして、とても綺麗です。

 

 

 

 

 

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男性は高校の先輩にあたる人で、

名前を"萩森秀一(はぎもりしゅういち)"といった。


無事高校に入学できたあずみは、

萩森先輩を見つけ声をかけるが、

先輩はあずみのことを覚えていなかった。


戸惑うあずみに

萩森先輩は「5分待っててくれ」と言う。


自分のことを覚えていなかったことにガッカリして歩いていると、すぐ萩森先輩が現れた。


今さっき別れた場所から正反対の場所に現れたことに驚いたあずみは

「あ!わかった萩森先輩双子なんだ!

だから話があわなかったんでしょ」と言うが、

否定され、


「今 受験日のきみに会ってきたから」と言った。


へんなの...と思いながらあずみは特に気にせず

時間が流れるにつれ、2人は段々仲良くなって言った。

 

 

 

 


受験日の君に会ってきたから...ってちょっと怖。

萩原先輩は変人とういか とても不思議な雰囲気をまとっています。

季節は変わり場面は夏になります。

あずみが萩森先輩を探しに行った時、あずみは萩森先輩にぶつかります。

その時、萩原先輩から金木犀の香りがします。

コロン?と思ったあずみ。

が、次の場面で先輩から金木犀の花がヒラリと落ちたのでした。

 


季節は夏。

金木犀は秋の花。

なぜ夏に先輩から金木犀の香りがしたのか。

なぜ花が落ちたのか。

 


先輩は一体何者なのでしょうか??

 

 

 

 

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あずみは学校内で見知らぬ男性に呼び出される。


半ば無理やり屋上に連れていかれ

屋上にいた顔も見たことがない男子生徒にしつこく誘われる。


逃げるに逃げれない時、萩森先輩が現れ助けてもらう。


「あずみのファンクラブを作って

オレ(萩森先輩)が会長になって、

あずみに近づくのはオレの許可がいるって制度つくろうか」なんて話を笑いながら歩いている2人。


あずみは萩森先輩が制服ではなく私服であることに気づく。

その時、窓の外で萩森先輩が呼ばれて

「先輩外で呼ばれてるよ」とあずみが言い外を見ると、

そこには制服を着ている萩森先輩がいた。


驚くあずみ。

「やっぱり双子...」と聞くあずみに

萩森先輩は「あれはオレ自身だ」と答えた。

 


制服を来た萩森先輩は、そのまま家に帰り

友人からの電話をとる。

あずみが屋上に呼び出されたことを知り、

慌てて戻ってきたという。


戻ってきたというのは"時間"のことだという。


「たまにこういう人間もいるらしい  信じる?」

と萩森先輩は言った。

 

 

 

 

 

何が信じる?だ

唐突すぎだわ!

 


衝撃だったのはあずみが外に制服をきた萩森先輩を見つけた場面。

この場面の後はあずみも混乱してるので

「・・・・」か多く見られます。

読み手のこちらも えええぇえ!!という感じ。

 


そして不思議な行動をしていた

萩森先輩の正体は タイムトラベラー です。

 


映画「仁」では主人公があるキッカケで

幕末にタイムスリップしますね。

その後 元いた現代世界に戻るキッカケを見つけ出し、現代へ戻ることに成功します。

いままで私が見てきたタイムスリップ系は、タイムスリップする"方法"を実践することで、タイムスリップするものが多かったのですが、本作の萩森先輩は

"自分の意思でいつでも過去や未来を行き来することができる"

いわばチートタイムトラベラーです。

なんて便利な。

 

さあここまでくると

あずみに あることがよぎります。

お解りの方もいるはず。

 

 

 

 

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「その日は金曜日」最後の記事です。

 

萩森先輩がタイムトラベラーだと知ったあずみ。


もしかして小さい頃自分を助けてくれたのは萩森先輩じゃなの?とあずみは思うようになりました。


そんなこんなで

たまに喧嘩しつつも仲良くしていた2人。


場面が変わり、季節は春。

萩森先輩の卒業式の日。


あずみが先輩の所へ行くと、

ポラロイドカメラを持ってる先輩から金木犀の香りがした。


なんとなく寂しい顔の先輩。


「さっき 未来であずみに会ってきた」

「また会おうね その時」


と言い残し、

先輩はあずみの前から消えてしまった。

その後大騒ぎで皆で先輩を探したが見つかることはなかった。

 

 

 


もうおわかりの方もいると思いますが、

小さい頃、あずみが車に轢かれそうになった所を助けて死んでしまったのは萩森先輩でした。


あずみが止めるものの、

結局萩森先輩は卒業式の日に、あずみが交通事故にあった日にタイムスリップしてしまいます。

切なすぎてちょっとむり ってくらい、

え〜行っちゃうのか....となかしい気持ちでいっぱいでした。


そして

冒頭であったあずみが交通事故の後に拾ったパスケース。

その中に入っている女性の写真。

漫画の最後、ぜひ見てほしいです。

見事な伏線回収。

ほんと鳥肌もん。


最初から最後までこれでもか、と出てきた金木犀。切ないラブストーリーですが、

あらためて本当に凄い作品だなと思いました。

 

こんなに良い作品に出会えて幸せです。

 

皆さんもぜひ読んでみてください。

 

 

 


ということで

「その日は金曜日」 終わります。

ではまた(*´∇`)ノ